[放送内容]2025年2月27日
栃木県内で唯一の漆掻き職人・秋田稔さん![]() ◇
中学卒業後に家の仕事に入り、65年。 健康に注意を払って、一年も休まずに働いてきました。 漆掻きのシーズンである5~10月には 辺りが暗いうちから現地に向かうのだとか。 ちなみに、一本の木から採れる漆の量は 約200gと言われていますが、 秋田さんは平成の頃、年間700本ほどの木から 100kg以上の漆を採っており、 日本の漆生産量の約1割を担っていたこともあります。 なかなか大変なお仕事ですが、 「自営業だから、好きな時間にご飯を食べたり 自分なりに楽しくやって気に入ってるね」と、秋田さん。 こだわりの道具も見せてくれました。 ![]() ◇
独特のカーブを描く鎌は木の皮を剥ぐもの。 先端が二股に分かれ、片方が手前に折れているのが特徴の カンナで木に傷を付け、 先が少し曲がったヘラで樹液をすくい取って タカツッポ(タカッポ)と呼ばれる木のツボに入れます。 こうした漆掻きの道具一式を作れる鍛冶屋さんは 青森県田子町に一軒のみあり、そこで調達するほか、 場合によっては秋田さんご自身が手作りするものもあるそう。 ↓漆を採り終え、伐採した丸太を見本に 実演してくれました ![]() ◇
漆の質が変わらないよう、出荷には木の樽を使い、 柿渋が塗られた和紙でフタをします。 上にのせる輪っかは緩衝材の役割も果たすようで こちらは奥様が作られているとか。 ![]() ◇ 秋田さんが採取した漆は、漆器等のほかに 国宝や重要文化財の修繕にも使われています。 たとえば、久能山東照宮、身延山久遠寺、鶴岡八幡宮・・・ 伊勢神宮の式年遷宮(20年に1度)には2度、献上されました。 : 「色々な人に巡り逢えたのも この仕事の魅力」と話す秋田さんの元には 貴重な国産漆の職人の仕事を知りたいと 研究者なども訪れています。 後継者については 「若い人が食べていくには難しい仕事。 個人的には、定年退職後でやってみたいという人がいれば なんぼでもご指導しますよ」ということでした。 「自分はあと10年はやりたいと思っているんだよね」と 笑顔で話す秋田さん。 掻く漆の本数は以前より減ったそうですが、 日本の文化を守る重要な人物であることは変わりありません。 ![]() |
御年80歳で現役の漆掻き職人。
漆の生産者として日本で一番古い家柄の四代目です。