[たかね・ざ・わンダフル]2012年8月22日
ちょっと怖い高根沢の伝説調査 ~後編~![]() 前回は、唸り声を出した観音様や、悲しい最後を遂げた雪姫を祀った雪姫塚を調査しました。
今回まず向かったのは、“かけあがり”という坂。 地図を頼りに、仁井田駅近くに行ってみたが、 坂らしきものが見当たらない!! どういうことだと思っていたら、和地さんいわく坂は削られてだいぶ緩やかになってしまっているが、 今我々が立っている所“かけあがり”だそう。 仁井田駅周辺は、かつては小高い丘になっていて、民家もない寂しい場所でした。 村の娘が一人で油を買いに、この丘の坂道を通ったら、何者かに目を覆い隠されて、そのまま石になってしまったということです。 それ以来、村人がこの坂道を通るときは、怖いので駆け上がることから“かけあがり”と呼ばれるようになったということです。 戸室隊員は、石にならないよう、夢中でこの坂を駆け上がり、無事に戻ってきました。
彼の息切れ具合は、某テレビ局の人気番組 全力坂を彷彿とさせました。 萌え~~ ![]() 最後に向かったのは、高根沢で一番有名な伝説の地である「おだきさん」。 我々探検隊は上高根沢で車を走らせていると、田んぼの中に、木で囲まれている一画があった。 ![]() 近づいてみるとそこには、とてもきれいな泉があった。
水は澄み渡り、ザリガニや魚といった生き物の動く姿をはっきりと確認できた。 そして、泉の底からは、ポコポコと水が湧きだしている。 この地には、こんな伝説がある。 昔、「おだきさん」という、器量のいい、村でも評判の娘がいました。 おだきさんの家は、貧しい百姓だったので、家族を助けるため、おだきさんは村の庄屋様に、奉公に上がりました。 おだきさんは働き者なので、奉公先の皆に可愛がられたそうです。庄屋様の跡取り息子の弥一もその一人でした。 おだきさんの姿が見えないと、「おだきさんはどこへ行った」と大騒ぎする始末で、 それでおだきさんもいつのまにか、弥一さんを好きになっていきました。 しかし、身分違いの恋だとあきらめていたということです。 そんなある日、弥一さんに縁談が持ち込まれました。 その相手は、良家の娘さんで、おだきさんは、「弥一さんが幸せになれる」と心から喜びました。 ところが、日が経つにつれて、おだきさんは、食べ物がのどを通らなくなり、 それでも休まず働き続けたので、とうとう寝込んでしまいました。 弥一さんはおだきさんを見舞いましたが、病は重くなるばかりでした。 そして、ついに弥一さんの婚礼の日がやってきました。 この日、おだきさんは、やっとの思いで床から起き上がると、部屋をきちんと片づけ、 生まれて初めてという口紅をさし、家の裏庭から森の方へとそっと出て行きました。 森には泉があって、岸にある大きなモミジの木が、水面まで枝を伸ばしていました。 おだきさんは、その枝によじ登ると、誰にも話すことのできなかった弥一さんへの思いを熱い涙に込めて、 ぽとり、ぽとりと水面に落としました。そして、ザブーンと泉へ身を投げてしまいました。 それっきりおだきさんの姿は浮かんで来ませんでした。 それからというもの、どんなに日照りが続いても、その泉の水が枯れることはありませんでした。 弥一さんの田んぼはもちろんのこと、周りの田んぼをも潤し、今も枯れることなく上高根沢の田んぼを潤しているということです。 おだきさんは叶わぬ恋を恨むどころか、高根沢の田んぼを潤し続けている。 米どころ高根沢は、おだきさんの優しさに支えられているのかもしれませんね。 |
先週に引き続き、『たんたん探検隊が行く!ちょっと怖い高根沢の伝説調査』をお送りしました。
高根沢には、数多くの伝説が残されているということで、我々たんたんCafeのスタッフで探検隊を結成し、伝説の地を回ってきました。
案内役は、たかねざわ民話の会 代表の和地芳江さんにお願いしました。