[今週のつながる劇場]2013年12月6日
12月6日 ~井の頭恩賜公園~12月6日の舞台は「井の頭恩賜公園」。
![]() 私の名前はササハラ・ノリコ、33歳。
今日は東京の吉祥寺にある私の実家に来ています。 主人が父と釣りに出かけちゃったので、 今日は息子のタカノリ、5歳と2人っきりのデートです。 「タカちゃん、ボート乗りたい?」 私の問いかけに、満面の笑みで“うんっ”と答えた息子を連れて来たのは、 井の頭恩賜公園。 東京都武蔵野市と三鷹市にまたがる都立公園で、 公園内にはボートに乗れる井の頭池をはじめ、 動物園やテニスコートまである東京の癒しスポットです。 「タカちゃん、着いたよ。あ、走ると転ぶから気をつけてー!!」 私の声なんてそっちのけで走り出した息子。 慌てて追いかけると、ん? 何か拾ったみたい。 「なーに? あ、キレイな紅葉! そっか、もう紅葉の季節なのね」 頭を上げると、そこには赤や黄色に染まった木々が空へ向って伸びている。 ここは“日本さくら100選”にも選ばれた場所だけど、紅葉もとても素敵。 今日はお天気もよくて最高ね。 「さぁ、タカちゃん。ボートに乗りましょうか?」 息子が選んだのはスワン型のボート。 昔はこれに乗るのは恥ずかしいと思ってたけど、 母親になると気持ちも変わるのね。 一所懸命ペダルを漕いでる息子が可愛くて仕方ない。 パシャ。(写メの音) “タカノリが一所懸命ボートを漕いでます。見て、この必死な顔!” 両親と主人にメール送信っと。 “ママー! メールしてないで漕いでー!!” あ、バレちゃった。「ごめんごめん、さぁ、行くよ〜!」 コツを掴んだボートはスピードを上げて池の中心へ。 「タカちゃん、見て。水面が赤や黄色に染まってるよ!」 水面には鮮やかに色づいた木々の姿が映り込んでいて、とても幻想的。 そうそう、この景色こそ井の頭公園の秋の名物だっけ。 周りのカップルを乗せたボートもみーんな止まって水面を見てる。 「タカちゃん、このお池の噂知ってる?」 息子が“なーに?”と首を傾げる。 「あのね、ここには弁財天っていう女の神様が祀られてるの。 その神様はね、とってもヤキモチ焼きなんだって。 だからね、ここでデートすると弁財天様が怒って、その2人を別れさせちゃうんだって!」 息子が何か考えるような顔をしていると思ったら、急に泣きそうな顔になっちゃった。 “僕とママも別れちゃうの!?” あ、そうか。今日は2人でデートって言っちゃったもんね。 「違う、違うよ。大丈夫。タカちゃんとママはずーっと一緒だよ。 それにね、昔ママはここでパパとデートしたこともあるんだよ。 でも別れてないでしょ? 結婚して、タカちゃんを産んで、家族になったんだよ。 きっと弁財天様のヤキモチに勝ったんだよ!」 (メール着信音) 「あ、パパからだよ。見て、タカちゃん。パパ、こんなに大きなお魚釣ったって! 今日はじぃじがお料理してくれるんだって。楽しみだねー! タカちゃんの写真も送ろうか。 はい、笑って(パシャ)」 “釣れてよかったね! 今、タカノリに井の頭公園のボート伝説を話したら泣きそうな顔されちゃった。 私たち、別れずに家族になれて幸せね。 これからもよろしくお願いします”送信っと。 普段照れくさくて言えない言葉もメールだと伝えられるから不思議。 ケンカした後の仲直りにもよくメールを使ったなぁ…。 「タカちゃん、そろそろ戻ろうか? パパたちと駅で待ち合わせしようよ?」 “さっきのもみじ、もう一枚拾ってパパへのお土産にする〜”と嬉しそうな息子。 今は私たちにべったりなこのコだけど、いつか彼女を連れてこのボートに乗ったりするのかな? その時はママと一緒に来たことを思い出してくれるのかしら…。 やだ、ちょっと寂しくなってきちゃったじゃない。 (メール着信音) 「あ、タカちゃんの気持ちがパパに伝わったみたいよ。“16時に駅につくから一緒に帰ろう”だって」 公園内でポケットいっぱいに紅葉を拾い集めた息子の手を繋ぎ、駅へと向う。 「あ、パパたちだよ。手、振ってる!」 じぃじとパパの顔を見るなり、自慢げに紅葉を披露する息子は誇らしそう。 その姿を何枚も写メするオトナ2人の姿はなんだかとても滑稽だけどね。 「まったく、孫バカなんだから(笑)」 すると突然、息子が私と主人の手をひっぱって、繋がせようとした。 「タカちゃん、どうしたの??」 “絶対別れちゃだめだよ”だって。 「ボートの伝説、タカノリには怖かったのかな?」主人と笑う。 「大丈夫よ、タカちゃん。私たちは別れないし、じぃじもばぁばもタカちゃんも みーーんな繋がってるんだから。ほら、タカちゃんもじぃじと手をつないで帰りましょ。 ばぁばが待ってるわ」 |
