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ONE MORNING 06:30~06:40
2025/5/14 06:32/Mine or Yours/宇多田ヒカル
●企業が海外に進出する際に合弁契約をする、ということを聞くことがありますが、
合弁とは?
合弁とは、複数の企業が互いに出資して、ある事業を共同して遂行していくことです。英語ではジョイント・ベンチャーといいます。例えば、A社が600万円、B社が400万円を出資して、資本金1000万円の会社を作る、というような場合です。金銭以外に知的財産権や
不動産などを出資することもあります。
●海外進出の際に合弁契約がよく使われるのはなぜですか?
東南アジアの国には外資規制というものがあり、日本の会社だけでは事業を行えないことが
ありますので、そのために現地の企業と合弁契約を締結し、合弁会社を作ることがあります。
例えば、日本でアイスクリームのチェーン店を展開する会社が、タイでも同様もアイスクリーム店を展開したいとします。 しかし、タイでは、外国資本50%以上の企業が飲食物の販売を行うことは原則として禁止されているので、この規制を回避するために、タイ現地の企業と
合弁会社を作ることがありえます。大戸屋さん、吉野家さん、ココイチバンさんなども基本的にこの手法でタイに進出し活躍されています。タイで成功している企業の皆さんの多くは
信頼できる現地パートナーの存在は不可欠だったと話しています。
●現地の企業がパートナーとなってくれるとすごく心強いですね。
現地に精通しているパートナーの経験、施設、販売網などを生かすことができるという
のは大きなメリットになります。何も分からない土地で一からビジネスを始めるのに比べると、迅速にビジネスを立ち上げることができます。細かいことですが、行政庁との事務的なやり取りなども、その国独特のやり方や慣習があり外国人は苦労するところなので、現現地パートナーがいると心強いですね。
●現地のパートナーと合弁事業をするにあたって、逆に気を付けなければならないことは
ありますか?
日系企業がよく困る例として「パートナーのパフォーマンスが悪かった」「期待したほどレベルの高い仕事をしてくれなかった」というのがあります。明確な義務違反があればそれを基に
解除ができるのですが、そこまでではなく単純にパフォーマンスが良くないだけという場合には、解除も出来ず、赤字を垂れ流すだけの状況になってしまいますので、例えば、3年連続赤字になったら契約解除できるなど、「別れ方」を予め決めておくことが大切です。
●特にアジアだと、知的財産権の侵害などを気にする日系企業も多いと思いますが、この点はどうですか?
合弁契約終了後に元パートナーが模倣品を販売し始めた、店舗のデザインやビジネスモデルを
流用された、というはなしは残念ながらよく聞きます。これについては、完全無欠な対応策と
いうのはなかなかないのですが、合弁契約上、そもそもパートナーが重要な技術情報に触れないようにするであるとか、いわゆる競業避止義務、つまり、当事者は合弁契約の終了後3年間はタイとベトナムにおいては同様のビジネスを営まない、などの条項を定めておくことが有用です。ただ、競業避止義務をあまりにも厳しく定めてしまうと、自分の首を絞めることになることもあるので、注意が必要です。つまり、先ほどの話のように、パートナーのパフォーマンスが悪かったので、この契約は解除して他のもっとよいパートナーと同じ事業をやり直したい、という場合に、これができなくなってしまいます。
●合弁契約をする際には色々な注意点がありそうですね。弁護士さんに相談すると、どのようなことをやってもらえるのですか?
合弁のケースでは、上手くいった場合、上手くいかなかったので契約を解消したい場合、契約終了後に元パートナーがノウハウ等を流用しようとした場合など、はじめから様々な事態を想定して、合弁契約書を作成しなければなりません。パートナーが決まり、どのような事業を
行うかの大筋が決まった時点で、早めに弁護士に相談していただくことが大切です。早めに
弁護士のアドバイスを得ることで、パートナーとの交渉を有利に進めていただきたいと思います。