[番組情報]2020年7月28日
今週は新田弁護士による「コロナ禍における、国際取引の法的なポイント」ついて~海外就職、外国人雇用、グローバル人材を応援~
![]() 今週は、国際関係の弁護士業務が専門
宇都宮中央法律事務所の新田裕子弁護士に 新型コロナウイルス感染症にまつわる様々な法律相談 「コロナ禍における、国際取引の法的なポイント」 について、伺いました。 ![]() ●新型コロナウイルスの影響により、
部材が予定通り入手できず、 外国の取引先に製品が納入できない場合 日本国内の取引であれば、 債務不履行には帰責事由が必要ですので、 帰責事由の無いこの事例では、責任は問われないと思います。 帰責事由と言うのは、債務不履行になったことについて 責任があるかないかということです。 国際取引の場合には、準拠法によるのですが、 通常契約書には不可抗力という条項があるので ここになんと書いてあるか確認していただくべきです。 ●契約書における不可抗力条項とは? 天変地異、自然災害、戦争など、 当事者にコントロールできない事情により契約が履行できな かった場合に、免責を認めるものです。 免責と責任を免除するということです。 ●不可抗力条項は定めておくべき? 今回のことで「疫病」は入れておいた方がいい。 という認識になりました。 今までは入っていない契約書が多かったのですが、 今、作る契約書には入れるようにしています。 テロというのは「9.11」の後に 入れることが多くなった項目なので、 時代とともに変わっていきます。 ●不可抗力条項のメリット・デメリット
自分が売主買主どちらの立場かによります。 責任を免除するのが不可抗力条項なので、 責任を追及したい側(基本的に買主)からすれば、 入っていないか、入っているとしても 限られた事由のほうがいいということになります。 責任を追及される側からすれば、入っている方が良いし、 カバーされる範囲が広いほうがいいということになります。 ●契約書に不可抗力条項がない場合 契約の準拠法がどこかにより異なります。 準拠法とは、契約を どこの国の法律に基づいて解釈するかという問題です。 日本国内の取引であれば、 当然日本法になるので、意識すらしないと思うのですが、 国際取引の場合には、例えば、、 シンガポールと日本の取引の時に何法なのか問題になります。 不可抗力の話に戻ると、実際は複雑なはなしなのですが、 誤解を恐れずに端的に言うと、 準拠法が英米法系の場合には、 契約書に不可抗力条項がなければ免責されないことが多く、 大陸法系(日本・中国・フランス等)の場合には、 民法等により免責される可能性があります。 つまり、契約書に書いてないから、 一切駄目。というわけでは、 かならずしもないということです。 ●準拠法は国ごとに違う?
もちろん、国ごとに違います。 準拠法のはなしは複雑なので、 国際取引の実務で端的にできることと言う意味では、 契約書に自社に有利なように、 不可抗力条項が記載してあるか。を、 確認していただきたいと思います。 書いてなかった場合には、弁護士に相談していただき、 このままだと救われる余地がないのか検討し、 余地が無さそうであれば、 契約書の変更も含めて検討すべきだと思います。 |