[番組情報]2020年10月27日
今週は新田弁護士に「越境ECに関する法的なポイント」について伺いました。~海外就職、外国人雇用、グローバル人材を応援~
今週は、国際関係の弁護士業務が専門の
宇都宮中央法律事務所の新田裕子弁護士に 「越境ECに関する法的なポイント」 について、伺いました。 ●越境ECとは
越境とは、国境を越えることです。 Eコマースとは電子商取引のことで、 簡単に言うとインターネット上での商品の売買です。 つまり、越境ECとは、 インターネットを介して商品を外国に売ることをいいます。 コロナもあり、越境ECというのは 今まで以上に盛んになっています。 県内の事業者さんでも、インターネットを介して 自社の商品を外国に販売したいと考える 方は増えているようです。 ●外国の買主について 車や機械の部品などは、越境ECで日本の事業者が 外国の事業者に販売することも多いですし、 服や化粧品などについては、 外国の消費者向けに販売されていることも多いです。 事業者同士の取引か、 事業者と消費者の取引なのかというのは、 適用される法律が大きく異なりますので、 今日は、県内の事業者さんが、 外国の消費者に対して自社の製品を販売するという、 消費者相手のケースについてお話しようと思います。 ●外国の消費者向けに商品を販売する場合、 返品などを要求された場合。。 結論から申し上げると、 返品をしなければいけないケースはあります。 インターネットショッピングでは、 サイト上にショッピング規約などを作り、 ショッピングの条件を定めます。 ネットショッピングをするときを思い出していただくと、 返品不可などとしっかり書いてあることが多いと思います。 なので、自社のサイトでも 返品不可と書けばいいのではないか。と、 思われると思うのですが、 実はそれでは不十分なのです。 いくら返品不可とサイト上に書いても、 返品しなければならないということです。 商品を購入した消費者が、 どこの国にいるのかということにもよるのですが、 例えば、台湾の場合には、 台湾の消費者を相手とした取引の場合には、 台湾の消費者保護法が適用されることになり、 通信販売の場合、商品受領後7日以内の クーリング・オフが認められていますので、 返品が認められることになります。 いくらサイト上で返品不可と規約を作成し、 明瞭に示したとしても 台湾の消費者保護法に反する場合には このような規約は無効になるのです。 これは、EU、韓国、などでも基本的に同じです。 ●消費者保護法? 多くの国では、 消費者を保護するための法律というのがあります。 例えば日本であれば訪問販売については、 クーリング・オフ、つまり、契約書面を受け取った日から 8日間は解約できるという制度があります。 これは、消費者を守るための制度です。 事業者と消費者は知識の差もありますし、 不意に勧誘されたり、執拗に勧誘されたりして、 本当はいらないものを購入してしまうことなどがあるので、 そういう消費者を守るためにこういう制度があります。 こういう制度は強行法規、 つまり、契約で適用除外できないものです。 契約で簡単に適用除外できるなら、 悪い事業者は当然、 この契約にはクーリング・オフは適用ありません、 としてしまいますよね。 そうなると制度を作った意味がないので、 こういうルールは、強制的に適用されることになっています。 ●ルールは外国にもある? ある場合が多いです。 ですので、外国の消費者に商品を販売する時には、 こういう外国の消費者保護ルールが、 強制的に適用されてしまうことがあるのです。 ●越境ECをしようとする事業者さんへの対策 販売の対象としようとする国の法律は、 確認しておいた方がよいと思います。 予め確認しておけば、返品を要求されたときに、 対応すべきなのかしなくてよいのか、 より速やかに判断できます。 また、対応しなかった場合に、 裁判になって負けるリスクがどのくらいあるのかなどの リスクを判断することができるようになります。 越境ECというのは、日本にいながらできますが、 取引相手は外国にいますので、 半分アウェイのゲームです。 アウェイの先のルールがどうなっているのかは、 確認していた方が、上手くゲームが進められます。 |