[番組情報]2020年11月24日
今週は新田弁護士に「インコタームズ」について伺いました。~海外就職、外国人雇用、グローバル人材を応援~
![]() 今週は、国際関係の弁護士業務が専門の
宇都宮中央法律事務所の新田裕子弁護士に 「インコタームズ」 について、伺いました。 ![]() ●インコタームズとは
①いつ・どこで売主が買主に物品を引き渡すのかということ。 ②売主と買主のどちらが運送費用を負担するのか。を、 決めるルールです。 国内取引の場合、例えば 栃木の会社が、大阪の会社に商品を売るとしたら、 大阪の会社に商品を引き渡すのが普通です。 では、国際取引の場合はどうなのでしょうか。 ●国際取引の場合
必ずしも、そうだというわけではなく、 他にもいろいろなバリエーションがあります。 例)栃木→シンガポールだとします。 栃木からシンガポールまで遠いので、 途中に、引渡しに使えるポイントが色々あります。 例えば、実務上よく使うのは、 栃木から横浜まで商品を運んで、 横浜の港で引き渡すというパターンです。 横浜の港で、シンガポールの買主が手配した運送人に 商品を託した時に、引き渡し完了になります。 もちろん、商品はこの後も、横浜の港から シンガポールの港まで船で運ばれていくのですが、 引渡は横浜の港で完了するということになります。 売主である栃木の会社が運送料を負担するのも、 横浜の港までです。 〇他の一例 他に工場渡しといいますが、 栃木の工場で引渡しが完了してしまうパターンもあります。 シンガポールの会社が手配したトラックなどが 栃木の工場に来て、商品を持っていくイメージです。 この場合、栃木の工場で引渡しが完了になります。 運送料は全て買主が負担することになります。 □どのパターンを選ぶかで、
手間も違いますし、商品の価格も違ってきます。 つまり、栃木の会社まで取りに来てもらえるのであれば、 栃木の会社は運送料の負担がないので、 商品の価格は運送料や関税などが 含まれていない価格になります。 逆に、シンガポールまで運ばなければならない条件だとすると、 栃木の会社としては純粋な商品価格に 運送料や関税などを上乗せして 商品価格を設定する必要があります。 どのパターンを選ぶかで、 商品価格は何倍も違ってきたります。 □様々なパターン・ルールの取り決めがインコタームズ。 インコタームズのルールは、FOB、EXWなど、 アルファベット3文字で書かれています。 先ほどの工場渡しはEXWという3文字ですので、 契約書ではEXWと記載します。 インコタームズは貿易商人の間の共通言語ですから、 相手がどこの国の企業であっても、EXWといっただけで、 商品がどこで引き渡されるのか、 誰がどこまでの運送料を負担するのか、 すぐに分かり便利です。 ●インコタームズを利用する上での注意点。 インコタームズは国際商業会議所が作った国際的な規則で、 法律ではないので、当然に適用されることはありません。 インコタームズを使いたければ、 契約でそのように記載する必要があります。 法律のように自然に適用されるものではないことは 覚えておいてください。 |