[番組情報]2020年6月23日
今週は新田弁護士による新型コロナウイルス感染症にまつわる「給与」の法律相談についてです![]() 今週は、国際関係の弁護士業務が専門 宇都宮中央法律事務所の新田裕子弁護士に 新型コロナウイルス感染症にまつわる様々な法律相談 「給与」 について、伺いました。 ![]() ●新型コロナウイルスに感染した社員が 休業した場合の給与の扱い 労働基準法26条は 「使用者の責めに帰すべき事由による休業」の場合、 平均賃金の6割以上の休業手当を 支払わないといけないとされています。 新型コロナウィルスに実際に感染した場合には、 感染症法に基づき就労が制限されますので、 感染者を休業させても 「使用者の責めに帰すべき事由による休業」には 該当しません。 そのため、給与の支払義務はありません。 なお、被用者保険に加入している場合であれば、 要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。 具体的には、 直近12か月の平均の標準報酬日額の3分の2について、 傷病手当金により補填されます。 ●感染が疑われる状態の社員に、 会社側が自宅待機を命じる場合 感染の疑いがあるのみの場合には、 休業させることは原則として 「使用者の責めに帰すべき事由による休業」と 解釈されますので、 平均賃金の6割の休業手当を行う必要があります。 なお、従業員が任意に 有給休暇を取ることは妨げられませんが、 会社がこれを強制することはできません。 会社から有休を使って休みなさいと言えないので、 気を付けてください。 ●社員の中で複数人が 新型コロナウイルスに感染した場合、 「労災認定」となるのか? 可能性はあります。 労災が認められるためには、業務起因性と言う、 新型コロナウイルスに罹患したことと 業務との関連性が必要です。 医師、看護師、介護従事者等が 新型コロナウイルスに感染した場合には、 業務外で感染したことが明らかである場合を除き、 原則として労災保険給付の対象となります。 会社員の方などで、感染経路が不明な場合には、 職場で複数の感染者が確認されたか、 顧客等と接触の機会の多い環境だったか等により 業務起因性が判断されます。 ●アルバイトの削減や 派遣の打ち切りを検討する際の注意点 アルバイトなどの従業員は、 有期雇用契約ですので、3ヵ月や6ヵ月、 契約で定めた期間が来たときに期間満了で 契約を終了できるのが原則です。 ただし、 ①当該有期労働契約が過去に反復して更新され、 期間の定めのない労働契約と、 社会通念上同視できると認められる場合や、 ②当該労働者において、 当該有期労働契約が更新されるものと 期待する合理的な理由があると認められる場合には、 単に期間満了だから 雇い止めができるというわけではなく 厳しい基準で雇い止めの有効性が判断されることになります。 ですので、まずは契約書を見て、 いつ期間満了になるのかを確認するととともに、 これまで何回契約更新されてきたかなどの、 事実を確認する必要があります。 何回も契約更新がされている場合には、 雇止めが違法になる可能性もありますので、 弁護士に相談し、きちんと判断してもらうべきです。 期間途中での解雇は、 やむを得ない事由がないとできません。 新型コロナウイルスがこれにあたるかどうかは、 事業内容等にもよります。 例えば、飲食店などで来客数が激減したような場合には これにあたることもありますが、逆に、通常の会社で コロナ前後で仕事量が特に変化がないような場合は これにあたらないこともあります。 ●勤務時間を短縮し、給与の減額対応について 従業員と合意できればできます。 労働契約は売買等と同じ「契約」ですので、 条件を会社が一方的に変更することは出来ず、 賃金の変更は合意が必要になります。 |
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